カメラを始めると「絞り」とか「F値」といったことばをよく耳にするかと思います。
ひとことで言うと、絞りはレンズから入る光の量を調整する機能のことで、F値(絞り値)はカメラに取り込む光の量を数値化したものです。
また、絞りには、写真のボケ味をコントロールするという大切な役目もあります。
写真のボケ味は作品づくりには欠かせない要素なので、写真を撮る以上、絞りとは上手に付き合っていきたいところです。
今回は、「絞りとは何か」から「ボケ味のある写真の撮り方」までご紹介します!
「絞り」って何?光と絞りの関係
光を水とたとえるなら、絞りは蛇口です。
蛇口で水の量を調整するように、光が入ってくる穴(光の通る面積)を大きくしたり、小さくしたりしてレンズから入ってくる光の量を調整します。
絞りは、「開く」「絞る」で表現されます。
絞りを開くには、絞り値(F値)と呼ばれる数値を小さくし、逆に絞る時は数値を大きくします。なんとなく数値が大きいほうが開いている感じがしますが、逆なのでここは覚えてしまいましょう~。
絞りを開く=絞り値(F値)を小さく。例:F1.8
絞りを絞る=絞り値(F値)を大きく。例:F11
ちなみに、F値の最小値はレンズごとに決まっていて、これを「絞り開放値」と呼びます。もちろん最大値も決まっています。
F値をもっと小さくしたいな・・・と思っても、レンズの絞り開放値がF3.5なら、F3.5までしか小さくできません。
ボケ味を調節するのも絞りの役目
絞りは光の量の調整だけでなく、写真のボケ味を変える重要な要素でもあります。
ピントの前後を含め、ピントが合って見える範囲(写真用語では被写界深度といいます)の調整ができるのです。
難しいことはさておき、まずは次の2つを覚えておきましょう。
絞りを開く(F値小):ピントの合う範囲が狭まる=ぼけやすい
絞りを絞る(F値大):ピントの合う範囲が広まる=ぼけにくい
作例(F1.8 vs F11)
ここで、絞りが変わり、ボケ味が変わると写真がどう変わるのか実際に見てみましょう。
まずは、開放のF1.8で撮った写真です。
ピントはネコちゃんの目に合わせているので、背景がぼけています。手前もぼけてますね。これだと、背景が何なのかイマイチはっきりしません。
でも、F11で撮った写真を見てもらうと、撮影した状況がはっきりわかると思います。
正解は、パールのネックレスでした。
何でもぼかせばいいわけではありませんが、この被写体であれば、あえてネタばらしする必要もないので、絞りは開いて撮ったほうが背景がすっきりして好ましいと思います。
被写体の前後をぼかしてあげることで、被写体を引き立たせることができます。
逆に全体をしっかり、くっきり撮りたいのであれば、絞ってあげましょう。
ちなみに、こちらの写真は50F18を使用しました。
絞りをカンタンにコントロールするなら「絞り優先モード」がおすすめ
絞りをかんたんにコントロールするなら、ぜひ「絞り優先モード」を使ってみましょう。
オートだと絞りを自分で選べず、マニュアルだと適正露出(適正な明るさ)を得るための絞り値やシャッタースピードを掛け合わせて設定しないといけないのでややハードルが上がります。
その点、「絞り優先モード」なら撮影者が絞り値(F値)を設定すれば、あとはカメラが自動設定してくれるのでとてもカンタンです。
「絞り優先モード」の設定は、撮影モードダイヤルを「A」に合わせて、F値を決めるだけ。F値をいろいろ変えて撮影してみるとおもしろいですよ。
関連記事>>>露出と露出補正
絞りを開けてもぼけない!困ったときに試すこと
絞りはボケ味を調整できると言いましたが、F値を小さくしているのにぼけにくいことがあります。そんなときは次の3点を試してみてください。
- 焦点距離が長いレンズを使う(ズームレンズであれば望遠よりに)
- 撮影時はなるべくメインの被写体に近づく
- メインの被写体と背景は遠ざける
たとえば同じ単焦点であれば、広角レンズより、中距離レンズのほうがぼけます。ズームレンズであれば、望遠寄りで撮りましょう。
あとは、撮影者と被写体と背景の距離感も重要です。撮影者と被写体は近く、背景は遠くしたほうがよりぼけますよ。
おわりに
最後にまとめです。
- 絞りは光の量を調整するもの
- 絞り値(F値)を小さくしたほうがより多くの光を取り込める
- 絞り値(F値)を小さくするとボケ味のある写真が撮れる
- カメラの絞り優先モード(Aモード)を使うと簡単に撮影できる
写真のボケ味は花や雑貨、ポートレート写真の撮影に活躍します。
背景をきれいにぼかしてあげることで、主役が引き立つのでぜひお試しください!