今回はとてもとてもわかりにくい「絞り・シャッタースピード・ISO感度」の関係について、できるだけわかりやすく説明します。
「絞り」と「シャッタースピード」の関係はコップに例えるとわかりやすい
写真の適正な明るさというのは、「コップに水が満たされた状態」によく例えられます。
コップに水を満たすには、水道の蛇口をひねり、水がたまるのを待ちますよね。
カメラでは、この蛇口の開き具合を「絞り」といいます。水はすなわち光のことで、絞りによって蛇口を通る水の量(光の量)をコントロールします。
そして、蛇口をひねって待っている(蛇口を閉めるまでの)時間。これが「シャッタースピード」です。
つまり、絞りとシャッタースピードの相関関係は、
コップに水がたまる時間(適正露出)=
蛇口から出る水の量(絞り)×蛇口を閉めるまでの時間(シャッタースピード)
となるので、水の量を増やせば短時間で水はたまりますし、水の量を減らせばその分時間がかかるということになります。

なるほど!じゃあ、水の量を増やしたほうがいいのね
コップに水をためるだけならそのとおりなのですが、写真の場合はそうとも言いきれません。
なぜなら、どういう写真を撮りたいのか、写真で得たい表現効果が関係してくるからです。
というのは、蛇口(絞り)をたくさん開いて水量(光量)を増やすとフォーカスポイント以外はぼけてしまうので、全体的に引き締まった写真を撮るなら蛇口(絞り)は閉める必要があるのです。


また、時間が短い(シャッタースピードが速い)と一瞬を切り取った写真になるので、動きを表現したいのなら時間を長めにとる必要があります。


適正露出を得るために、量(絞り)と時間(シャッタースピード)のどちらを増やす、減らすかは、どんな写真が撮りたいか次第となります。
ISO感度はコップの大きさと考えよう
先ほど、蛇口から出る水の量(絞り)×蛇口を閉めるまでの時間(シャッタースピード)が写真の明るさを決めるとお伝えしましたが、じつはもうひとつ「ISO感度」というものがあります。
先ほどの図式を思い出してみてください。
コップに水がたまる時間(適正露出)=
蛇口から出る水の量(絞り)×蛇口を閉めるまでの時間(シャッタースピード)
ISO感度は、このコップの大きさと考えることができます。コップが小さければ、水がたまるのは早くなりますよね。
たとえば、暗い屋内で撮影する場合、蛇口から出る水の量(絞り)をいっぱいにして、蛇口を閉めるまでの時間(シャッタースピード)をできるだけ長くしても、コップに水がたまらないことがあります。
そんなとき、コップ自体を小さくしてあげる(ISO感度を高くする)ことで、コップを水で満たすことができるわけです。



なるほど!じゃあ、コップは小さいものを使えばいいのね
ただ、このコップ(ISO感度)は万能ではなく、あまり小さすぎる(感度を高くしすぎる)と、画質が劣化するというデメリットがあるので注意してください。
ISO感度との上手な付き合い方
写真を撮るとき、いつもたっぷり光があるわけではないので、ISO感度とうまく付き合うことも大切です。
とくに三脚が使えない場合、シャッタースピードを長く(遅く)するには限界があるので、ISO感度に頼らざる得ない場面が出てきます。
では、どうするのが一番いいのか。
以前、イルミネーション撮影会(手持ち)で写真家の先生に教えていただいたのは、
最小限のISO感度を設定しておき、それで絞りとシャッタースピードがうまく設定できないようであれば、少しずつISO感度を上げていく
という方法で、今も実践しています。



私が最小限のISO感度として使用している値です。
日中の屋外:100
日中の屋内:400
夜間や暗い屋内:800
補足:ISO感度がオートのときは


カメラによっては、ISO感度オート時の下限値と上限値を設定することができます。
設定できる場合は、ISO感度が高くなりすぎないよう、上限値をあらかじめ決めておくのがおススメです。(私は上限値はISO3200で設定しています。)
おわりに
今回は、絞り・シャッタースピード・ISO感度の関係を「コップに水をためる」ことを例に解説してみました。
わからなくなったら、絞りは「蛇口」、シャッタースピードは「蛇口を開けている時間」、ISO感度は「コップの大きさ」と考えてみてください!